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被災地支援競輪 第53回朝日新聞社杯競輪祭
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 村上義弘を先頭に結束力で勝負する近畿勢VS別次元のパフォーマンスを披露し無傷で勝ち上がった武田豊樹。2大勢力の激突に注目が集まったが、イチかバチかで佐藤は近畿勢を分断を計る。佐藤のかく乱で主導権を握った村上はペースを落とせず懸命に踏み込むが、前団の様子をうかがっていた武田が最終ホームで仕掛ける。
 「レースも武田さんにお任せしている以上はしっかりと離れないようにということだけを思っていた。オッズを見たところ本命、対抗だったのでとにかくお客さんの期待に応えようと。武田さんが残り1周から仕掛けたので、まず踏み出しに遅れないということ。それと普通であれば村上さんが前であれだけいいスピードで前で走っている訳ですから間髪入れるところをそのまま無理やり外を踏んでいくということに感動しました」と、口を開く長塚。今シリーズだけで3度目の連係となる、武田の踏み出しにピタリと息を合わせた。
 「稲垣(裕之)さんのブロックもすごくて。そのとき正直武田さんのスピードも落ちてたし、海老根(恵太)さんも内にいたんですけど。その外を武田さんが伸びていくと信じて車輪をとにかく後ろに置いて行った結果、やっぱり武田さんはすごいなと思いました。4コーナーからは武田さんがあれだけ脚を使ってるんで、一生懸命自分も行ったんですけど。それでも自分も何とかほんのちょっと交わした。自分が優勝してるんですけど武田さんが一番強くて。自分が優勝して申し訳ないって気持ちと、武田さんに本当に感謝しています」
 今シリーズ3度目のワンツーは、3度目の正直で長塚が武田をタイヤ差交わし初タイトルを手に入れた。
 「今、選手になって14年目になると思うんですけど、その中で04年は伏見(俊昭)さんと井上(昌己)君と一緒にメダルを取らせていただきましたし、その後は井上君が選手に専念するということでG1を取って、伏見さんも井上君も取ってるので、長いような短いような。その後、武田さんと平原(康多)君が強くなって、京王閣でも練習させていただいて、そのなかで自分の競輪に対するタテだけじゃなくてヨコにも動くと。ダッシュを生かした自分の長所を生かしたレース展開を心掛けようと思いまして、そういった形で2年間一生懸命やってきたつもりなんでその結果が出たのと武田さんと平原君が先行でがんばってる以上はその後ろを回れる選手になると決めてましたので、まだまだ甘いですけどその結果が少し出たんではないかなと思いますし、自分のなかではどうしても競輪に苦手意識があったので、体質改善というか長い距離を踏むために大ギアをかけて持久力を補ったということなんで長かったですね、正直。同期もたくさんG1を獲ってますし、(一緒にアテネを戦った)伏見さんも井上君も獲ってますし、そういうところで長かった気はします」
 アテネ五輪の銀メダリスト3人で最後にタイトルホルダーとなった長塚にとっては、遅すぎる通過点。輪界だけに及ばず、各界にマルチな才能を振りまく希代の天才レーサーが、同時に初めてGPシートを獲得した。
 「ほんとはナショナルチームカップの予定だったんですけど、幸運にもGPということになりましたので、武田さんと一緒に練習して、またワンツー決められるように。武田さんのサポートに回れるように頑張りたいと思います」
 4倍超の大ギアを変幻自在に操りながら、タイトルを射止めた長塚。今年はダービー、オールスターと決勝にコマを進めながら無念の失格で苦汁を味わっているだけに、感慨はひとしおだろう。

 武田は村上を相手に真っ向勝負。胸の内をこう明かす。
 「分断の気持ちがあったわけじゃないですけど。村上君は先行で戦ってきた選手ですし。正々堂々と力勝負をと。稲垣君が持ってきたのも、なんてことはなかったし。長塚君のために走ったわけじゃないから、(抜かれたことで)課題が見つかった。連戦で正直、腰痛が出てきているし、周りのみんなが言うほど(完ぺきな)仕上げではなかったでしすよ」
 一戦入魂を強調する武田だが、長塚をGPへ引き込んだのは偶然ではないだろう。

 「あそこだけ。時間がかかるところじゃないし。一発ですよ、一発で飛ばなきゃ、諦めるしかなかった…」とは、佐藤の弁。
 照準は近畿の3番手、市田佳寿浩の位置。勝利への方程式をしっかり描いていた佐藤が作戦を打ち明ける。
 「あの位置を取れれば。武田さんが来た時に、前の稲垣(裕之)さんは合わせて出て行くはずだし。稲垣さんがヨコにもっていった瞬間に自分が内。優勝のイメージができていたけど、勝負どころで勝てなかったのがすべて…。落車、失格もあるけど、ギリギリのところで勝負をしたかった」
 完走がグランプリ(GP)への条件だった佐藤だが、安全第一より公言通りタイトルを獲りにいった。年末のGPを見据えるように、こう続ける。
 「最悪の事態は免れた。稲垣さんが獲って、GPで村上さんと連係するっていう。これで自分も何とかGPに出られますからね」
 GPへは完走が条件だった佐藤友和が、伸るか反るかの近畿勢分断に出たことで流れが大きく変わった。

 赤板で先頭に立った村上は流すことなく、ハイペースで飛ばす。
 「(ラインが)全部出られたら、ゆるめたかったけど。併走でゆるめると武田さんの行きごろになってしまうんで。僕ら(4人)は全員力を出し切ったし、それで力が足りなかった。この経験をひとつのキッカケとして、
近畿全体の起爆剤のなっていけば…」
 村上は潔く完敗宣言。

 猛ブロックも武田を止めきれなかった稲垣が、言葉を振り絞る。
 「あれで獲れなかったのは申し訳ない。持てる力は出したつもりだったけど、武田さんが強かった…」

レース経過
 号砲と同時に佐藤友和が勢い良く飛び出してスタートを取る。佐藤には大塚健一郎が付けて前受け、その後ろに武田豊樹—長塚智広の茨城コンビ、これに単騎の海老根恵太が続く。村上義弘—稲垣裕之—市田佳寿浩—南修二の近畿ラインが後攻めの形で隊列は落ち着く。
 赤板前の4コーナーから村上が仕掛けると、前受けの佐藤も合わせて踏み込む。佐藤はスピードが合った三番手で粘り、市田と激しく競り合う。先頭に立った村上は緩めずに、そのままハイペースで逃げる。踏み遅れた佐藤が五番手まで下げると、今度は武田が最終ホーム手前からすかさずスパート。稲垣は1センターでこれを張りながら番手まくりを打つも、武田が力で乗り切って前に出る。長塚がきっちり続き、単騎の海老根がこれを追う。直線は武田と長塚の一騎打ちの態勢。長塚が渾身の追い込み勝負で武田を僅かに捕らえ、G1初制覇を果たした。2着は武田、3着には海老根が流れ込んだ。

 

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