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HOME > 特別競輪 > 被災地支援競輪 岸和田競輪場「第27回 読売新聞社杯 全日本選抜競輪」
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被災地支援競輪 岸和田競輪場「第27回 読売新聞社杯 全日本選抜競輪」
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 プライドワンだ、伏見俊昭がキングに返り咲き! 第27回読売新聞社杯『全日本選抜競輪』(G1)が今日7日に決勝戦を迎えた。勝ったのは伏見。打鐘発進で浅井康太や平原康多を苦しめた山崎芳仁の男気に、番手まくりで応えて佐藤慎太郎とワンツー決着。震災の影響を大きく受けながら、大量4名が優参した福島県選手の中でも、最もキレを高め、維持し、見せ付けた。昨年の奈良秋本番以来のビッグ優勝で、5年連続9度目のグランプリ出走をも確定した。勝負の『鬼』が今年後半のビッグ戦線を熱くする。

 上がり11秒0と、ハイラップで村上らのハイスピードまくりを完封した。山崎が演出したハコ展開を逃がさなかった。最終バックでは平原に村上、次々と別線の反撃が襲い掛かった。三角で佐藤のかけ声を聞くと、怒涛の勢いで番手まくりを発動し勝った。忘れかけていたVゴールの踏み応えは、ビッグ決勝ではしばらく遠ざかっていた山崎との連係が呼び覚ましたもの。4日以上のシリーズでは、一昨年一宮オールスター以来のG1制覇に、レース直後から言葉が弾んだ。
 「人気を背負っていたが、アドバンテージがあるわけでない。オッズでも一番人気に支持されていたけどね。慎太郎の声を聞いて、最後は出ていった。山崎があれだけ行ってくれたし、前に踏ませてもらった。風光るでは(成田和也に)交わされたけど、良かった」。
 恒例の優勝者共同会見では、福島カルテットの先陣を切った山崎、三四番手の佐藤、岡部への感謝から切り出した。「山崎。山崎とは同門なのに番手を回してくれた慎太郎。何も言わず四番手を回った岡部さん。自分は番手の技量が未熟なのに。みんなのお陰です。番手から出て福島ワンツー。良い結果だと思います」。
 カルテットの作戦はシンプルだった。「車番が悪いし、後攻めになる。早めに誘導を切って逃げたのは、山崎の考えひとつ。最後は外まで見る余裕がなかった。無我夢中。下だけ見て、踏むしかなかった」。
 震災の影響は甚大だった。アパートを借りて新たな拠点にした三重県松阪市と、実家のある福島県白河市を時には往復する二重生活にも、超一流のキレを維持して臨んだ今シリーズ。二次予選では絶対絶命のピンチを凌ぎ、準決勝では新田祐大とのタッグで深谷知広を不発に追いやった。
 「1月、2月はモチベーションが上がらず、3月には震災の影響で思う様に練習出来なかった。でも、環境を変えたのをマイナスに思わないようにと。初心に帰った」。
 岐阜オールスター、松阪秋本番と戦いは続く。「松阪は地元ですからね(笑い)。今回の優勝で、地元の福島県の方にも喜んでもらえると思う。みんなの糧になると思う。来年も赤パンツ。一戦一戦に集中する。プライドを持って…」。

 伏見の優勝に最も貢献したのは山崎芳仁だ。後攻めから打鐘前に飛び出し、伏見に佐藤、岡部とほぼ無傷で最終バックを通過させた。ブン回した理由は、「自信が無かった。勝ちにいこうとまくりに回るのは危険。勝てる保障が無い。ならば、ラインから優勝を出すのが一番。福島が大きな輪と考えて。オレの性格から、中途半端じゃなく、誰にも飛び付かせず仕掛けた」。昨年優勝したオールスターから比べて、状態が七割減と自己診断している。だが、二次予選に準決勝と不得手なレース運びで突破した。光は差している。「まあ、簡単じゃないけど、頑張ります」と、復活ロードを一歩ずつ歩いているのは間違いない。

 佐藤慎太郎はレースから時間が経つごとに悔しさが増した。最終四角では村上の快速まくりを止める好プレー。だが、「(最終)バックで、オレが平原を止めていれば、チャンスだった。平原を止めれば、村上さんも煽られる。そうすれば、最後は伏見さんと伸び勝負が出来たのに。まあ、よく立て直せた方だけどね。初日に落車しているから」。不満気な表情を見せているのは、状態が右肩上がりだから。高知記念の優勝から、手応えを強くして「山崎と車誘導の成果が出ている。2人で何で強くなったか考えた時、あー車誘導だったなと。車を買って金はかかったけどね。シューズとかフレームとかピタリと合ってきたし、まだまだ伸びしろがある。頑張る」。準決勝では逃げた山崎芳仁を差した。幸い、落車は軽傷で済んだ。福島県民のプライドを強くした。

 3着は村上義弘だった。最終ホームではシンガリに置かれた。まくり上げた平原のスピードを借りながら打った二角まくりは、2センターで伏見に合わされた。「脚が無かったということ。あらゆる展開を考えて、どこかにワンチャンスがあるだろうと。早いか遅い段階か、そのタイミングで確実に仕掛けようと。2番手勝負かも考えていた。山崎の勢いが良くて、引いた。勝つんだと仕掛けた。感触は良かったけどね。期待されているのも分かっていたし、残念。大外を回った分ね。リスクは考えていたけど」。

 浅井康太はG1連覇を果たせなかった。松山サマーナイトで左足の爪を剥し、練習量は不足気味で臨んだ。開催直前は整体治療などに頼るなど、万全の備えは出来ていなかった。それでも、初日特選の逃げ切りで不安を拭うと、スタールビー賞、準決勝と10秒台後半の個人上がりを叩き出し、連覇への資質は十分だった。しかし、正攻法に構えたのが裏目。平原と中団五番手の取り合いが長引き、「ダメでしたね。あそこ(打鐘)で番手で粘るより、中団に下げてから、平原さんに仕掛けてもらえば、自分にもチャンスがあると思ったけど。ワンテンポ、反応が遅れて平原さんに入られたし。最後は内からコースを探したけど、伏見さんが出ていった段階で苦しい。前取って、最悪位置が悪くなればカマシ。それか番手で粘るかの作戦だったけど」。

 平原康多は山崎の出方を読み違えた。「あれ(ブン回し)をやるとは思わなかった。いつもオレがやることをやられた。こっちは無理、勝てない。こっちは(浅井や岡部と)からんだ後で、11秒フラットで番手まくりされたらね。最悪は飛び付こうとか考えていたけどね。浅井も同じように振り返ってたね。ただ、仕掛けるポイントで踏めているし、次には繋がる。状態が良くなっているし」。久々のG1優参に手応えはある。


レース経過
 号砲と同時に浅井康太が勢い良く飛び出し、スタートを取る。浅井に加藤慎平が付けて中部コンビが前受け、その後ろに平原康多—神山雄一郎の関東コンビ、単騎の村上義弘は五番手に入り、山崎芳仁—伏見俊昭—佐藤慎太郎—岡部芳幸の福島勢が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 赤板過ぎに前との車間を空けた山崎が2コーナーから一気に仕掛けて主導権奪取。山崎はそのままペースを緩めずに踏み続ける。引いた浅井と追い上げた平原で五番手は併走。平原は最終1センターからまくり上げるも、車はなかなか進まない。最後方の村上がその上をまくって前団に迫ると、伏見が合わせて3コーナーから番手まくり。最後まで力強く踏み切った伏見が佐藤の追撃を振り切って優勝を飾った。続いた佐藤が2着。大外をまくった村上が3着に入った。

 

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