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特別競輪
被災地支援競輪 第20回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント
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 『器』だった、強いハートを体現した。マイナーチェンジは間違いじゃなかった。浅井康太が09年の競輪祭以来、G1決勝へ僅か3度目の挑戦で勝った。
  単騎カマシとなった渡辺一成に最終1センターで飛び付くと、2センターからは一気差しで山口幸二に坂上樹大まで確定板へ引き込んだ。ゴール後の一角では右手で力強くガッツポーズを作ったが、表彰式を終えても、大仕事をやってのけた後とは思えぬ冷静な口ぶりで、「自分でもびっくり。決勝じゃないと思うぐらい、落ち着いて戦えた」とVロードを振り返った。
  勝負所でのジャッジ、作戦通りにレースを運ぶ精神力とキレは、タイトルホルダーのそれに相応しいものだった。渡辺一成の番手が競りで、敵陣が神経戦をも強いられる『追い風』を確実に生かした。佐藤友和のミスをも逃がさなかった。
  「作戦? 前を取れると思ってなかったから、後ろからどうするかと。それが前を取れた。スタートで出た瞬間に、車の出が良かった。それで、感触は良いぞと。ホームか(打鐘過ぎの)四角で、突っ張るか、渡辺君の後ろが離れてくれば粘る、飛びつく。最後は佐藤さんの自力が飛んでくるかと、ゴールまでモガき切った」。
  山口との2車単車券が一番人気と、ファンは浅井がV候補の最右翼と読んでいた。思い通りの展開に持ち込み、大方のファンが考えた結果を導いた。原動力は、「F1の決勝みたいな気持ちで戦った」と復調モードにも自己を見失わない精神力。海田和裕以来の三重県からタイトルホルダー誕生に、萩原操も「浅井は、自転車に乗る以外は、体を動かさない(大笑い)。気配りがない。普段からマイペース。ハートが強いよね、それが結果になった。良かった」と冗談を交えて強心臓ぶりを証言した。
  浅井の戴冠を喜んだのは、「グランプリに中部がまずは2人? 心強いです。中部から優勝を出せる様に、自分はしっかりと体を作り直します」と深谷知広も同じ。
  自身は「こんなに早くタイトルを獲れると思っていなかった。器じゃないと思ってますから。グランプリ? 夢の舞台で、若い深谷君としっかりと戦いたい。今後は競輪に専念。仕掛けるところで仕掛ける。強い武田(豊樹)さん達に勝てるように頑張る」。
  落車禍に苦しんだ宮杯から、間隔を置かずして劇的に進化した。自在戦は封印し、年頭から積極攻撃を増やして、レース中でも脚力再生に務めた姿勢が実を結んだ。浅井の迷い無き姿勢が、中部軍団をより強くする。

 山口幸二は唇を噛み締めた。浅井に好マークから準優勝にも、「悔しい、嬉しい? うん、両方。余裕ある状態だったからね。神山にからまれた分ね、脚を使った」。98年オールスター以来のG1制覇をお預け。賞金額を大幅にアップさせても、表情を綻ばせることはなかった。

  渡辺一成は大チャンスを逃がした。裸同然の逃げが、浅井ら中部勢には格好の餌食になった。「あの展開で勝てなかったから、力不足としか言いようがない。脚を使わずにスンナリとカマせた。タイミングは良かった。後ろの状況? 一度も見なかった。良いコンデションだったのに。ただ、手応えは掴めた。これからは、もっと強くなれる様に…」と、後続で競り合って千切れた佐藤友和と神山雄一郎へは恨み節は一切無し。10秒7のハイラップで準決勝を突破したスーパーアスリートが、悔しさをバネに進化する。

  佐藤友和は渡辺の番手を死守出来なかった。渡辺が仕掛けた打鐘過ぎ四角で、神山にインから飛ばされて「ダメ、力不足」と重い口を開いた後で、「一成が仕掛けるのは、(打鐘過ぎ)3コーナーから、ここかなと思ってタイミングが…。スタートも遅れたし、ホント申し訳ない」と渡辺と成田に詫びた。

  神山雄一郎には悔いはない。渡辺の猛ダッシュに離れたが、「もう一度、このメンバーで? うん、あそこで競るしかないよ。ただ、苦しかった。一成には押さえて逃げてもらいたかったな。北日本作戦? うん、ダッシュ勝負の雰囲気があったよね。踏み出しの悪いオレの脚質が…。4回転? 4回転だから、あそこまで追っていけた。もうちょっと、付けられれば…」。


レース経過
 号砲で浅井康太が勢いよく飛び出して正攻法。これで前受けは浅井―山口幸二―山内卓也―坂上樹大の中部勢。中団の渡辺一成後位をコメントどおり神山雄一郎―大塚健一郎が主張、佐藤友和―成田和也は後方で追い上げのタイミングを計る。
 赤板前から佐藤が神山のアウトに追い上げる。渡辺はやや車間を空けてしかけのタイミングをうかがうが、打鐘ではまだ動かない。渡辺の仕掛けは2センターから。番手は神山が奪ったが、渡辺のダッシュに離れ気味になると、前受けの浅井が番手に飛び付く。神山は山口をキメに行ったが山口にさばかれ外へ。これに接触した山内、大塚が最終バックで落車する。浅井は2センター過ぎから車間を詰めると、粘る渡辺を捕らえてG1初優勝。2着にはマークの山口、バックで落車を避け、内から山口に続いた坂上が3着に入線した。

 

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