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特別競輪
第64回日本選手権競輪
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 「ダービー王? 信じられない。まだ、頭の中が真っ白です」。優勝者共同会見へ向かう最中に呟いた言葉だが、なかなかどうして、レース運びは冷静沈着そのものだった。市田佳寿浩が長塚智広に押圧されて落車する非常事態に、村上は自力勝負へ作戦変更。打鐘過ぎ3角で3番手キープから、逃げた鈴木謙太郎に2角まくりを浴びせると、追走した山口幸二や、「流れとかコースとか全部見えていた」の兵藤一也の猛襲をも振り切った。
 百戦錬磨の山口をして「落車があって普通なら動揺とかするのに、村上は落ち着いていた。冷静に、勝負権ある位置を確保した後は、凄いスピードだった」と評する程、G1最高峰ダービーの決勝でも、絆を強めるパートナーが眼前から姿を消す事態でも、村上の頭脳は明晰だった。大ギアミックスの快ダッシュで1次予選から3連勝、無傷の優参で『超抜』だった長塚でさえ、「敵いません、格と脚が違いすぎます」と潔く完敗を認めるしかない程、村上の『驚速』ぶりはダービー王のそれだった。
 村上は市田とは、G1初制覇の岸和田全日本選抜では別線で力勝負を演じ、昨年の立川グランプリでは自身の3番手を固めるなど、時にライバル、時には盟友の関係を築いた間柄。その市田に決勝は前を託した。「市田がいつもするはずのプロテクターをしてなかった。凄く、気持ちが伝わってきた。長塚君の降り方が急激で、市田は落車するかも。冷静に見られた。幸二さんにも付いてもらったし、市田の気持ちを無駄にしたくない。先行するつもりで、前に前に踏んだ」。
 「一緒にゴールしたかったが、村上さんが勝って良かった」と振り返る市田のロングスパートに乗ることは出来なかったが、熱い思いを押さえ、赤板後は冷静に冷静に運んだ。一時は山内卓也のインに包まれていたが、「市田さんの落車を見て、自分は村上さんと長塚さんに中団取り合いさせてペースで逃げようと」とした鈴木謙太郎の思惑を見抜くと、3番手へ下げた後の2角まくりで長塚や松岡貴久の巻き返しを軽く退けた。
 ビッグ制覇は昨年4月の小松島春一番以来だが、G1戦に限れば平成15年の一宮オールスターまで遡る。昨年はダービー、親王牌に全日本選抜と準優勝が続いた。一時は落車禍に苛まれ、優勝戦線から遠ざかった。ギアアップを良しとしない信条もあったが、スランプ脱出へ一昨年7月の小松島記念では4回転ギアに履き替えたこともあった。逃げ一本で勝っていた頃とは、プレースタイルは大きく変わった。それでも、ファンは『日本一』の復活を待った、信じた、期待した。「昨年はファン投票で第1位。その前も上位で選んでくれて、モチベーションを保てた。支えてくれた方、ほんとに多くの方に恩返しが出来て良かった。今後? 一戦、一戦に集中するだけ」。ダービーの約2週間前に宣言した「G3もG1も関係ない」の信条に変わりはない。


レース経過
 最内枠の山口幸二がスタートを制して近畿勢を迎え入れる。市田佳寿浩―村上義弘―山口。中団に長塚智広―兵藤一也―太田真一が構え、鈴木謙太郎―山内卓也に松岡貴久が続き周回を重ねる。
 青板3コーナー過ぎから鈴木は上昇を始め、赤板手前で誘導員を下ろす。鈴木―山内、松岡と出切るが、4番手に下げた市田を長塚が外から押し込んで市田は赤板で落車。目標を失った村上は2コーナーから長塚ラインをすくって内を進出。打鐘前には山内の横まで行くが一車下げる。単騎の松岡は車を引き代わって長塚が外を追い上げるが、村上が長塚をけん制し3番手キープ。鈴木の先行で最終回へ。
 主導権を握った鈴木に山内が追走。村上―山口が続き後ろは切り替えた太田と長塚で併走となり、兵藤、松岡。太田は長塚にキメられ後退。2コーナーで松岡が最後方からまくりを打つと、村上も3番手から発進し最終バックを通過。  山内は止められずまくった村上―山口が逃げる鈴木を4コーナー手前でとらえる。村上ラインに続いた長塚は、松岡を弾きながら外に持ち出し直線へ。山口は追走いっぱいで、村上がスピード保ちゴールを駆け抜け優勝。2着に山口、長塚に離れ気味だった兵藤が、追いつきざま中を伸び3着。

 

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