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特別競輪
KEIRINグランプリ2010
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 「ヤマザキー!」、「ヒロユキー!」。ゴールの瞬間、観客席から叫ばれた名前の半々。オーロラビジョンにスーパースローが映し出されたが、それでもまだ分からない。村上博幸がガッツポーズを繰り返したが、スタンドはざわめくばかり。長い写真判定の末、検車場に「1着、7番」のアナウンスが響くと、村上からは嗚咽のような雄叫びが漏れた。兄・義弘から健闘を称えられると思わず落涙。村上博幸の優勝で幕を開けた特別戦線は、村上博幸のグランプリVで幕を閉じた。
 「ホンマに信じられへんですね。兄弟でこの舞台に立ったということが。自分の持っている力を全て出せました。特に作戦はありませんでした。近畿の中から優勝者が出ればという気持ちで話し合っただけです。スタートだけは前か中団という選択でした。賞金王になったという実感はまだないけど、まぐれでなれるものではないので素直に嬉しいですね」
 レース前から注目され続けてきた兄弟の絆。他のどのラインよりも濃いつながりが勝利を生んだ。
 「ゴール後、ハッキリと何を言ったかは分からなかったけど、兄が肩を叩いて祝福してくれました。前半戦はいい勢いで走れていたけど、落車でリズムを崩してからは苦しい時間が続きました。その中で、兄にもたくさんのアドバイスをもらったし、それでまた立て直すことができた。今朝もすごく緊張していたんだけど、兄が『日本一のオカンにしたろ』と言ってくれて、気合が入りました」
 これで2011年はチャンピオンジャージで戦うことになる。競輪界の顔として重責を担う。
 「1番車は責任あるユニフォームですけど、気を引き締めてタイトルを獲りたい。このグランプリの雰囲気を味わったら、また走りたいという気持ちがどんどん強くなりました。まずは、もう一度この舞台で走るのが目標です。安定感を持ってふさわしいレースをしていきたいと思います」

 村上義弘も博幸の優勝を我が事のように喜んだ。
 「自分としては力を出し切ったし、悔いはありません。今日はすごく興奮していたんだけど、なぜかレースの5分前ぐらいにスッと冷静になれた。弟と走ったレースや、市田とガチンコで勝負したことなんかを思い出しながら周回していました。最後は弟を後ろから見る形になってしまったけど、抜いたなと思いましたね。それにしてもシンドい(笑)」

 悔しさを隠せないのは山崎芳仁だ。勝っても負けても冷静な山崎が、珍しく苦虫を噛みつぶしたような表情で「恥ずかしい」と自らのレースを切り捨てた。
 「 あの展開で勝てないようじゃね。僕らにとっては最高の展開。最初から後ろ攻めは決めていたことだし、(佐藤)友和も良いカカリで先行してくれた。村上さんがまくってくる気配を感じたので、まずはブロックに行ったですけど、うまく払うような感じで止められたので『友和を残せる』と思ってしまったのが敗因ですね。一度バックを入れたので伸びを欠いたのかな。今日は(村上)博幸が強かったと言うしかない。僅差での負けなので余計に悔しい!」

 先行した佐藤友和は「悔しいけど、満足です。競輪選手になってから一番仕上がったし、状態もパーフェクトだった。これで勝てないんだから、ここが壁ということ。来年またここに帰ってこられるよう、次のステップを目指します」。

 勝負所で反応できなかった平原康多にとっても悔いの残るレースとなってしまった。
 「友和が後ろ攻めという展開は考えていなかった。打鐘で友和が誘導の後ろに入って、ずっと自分の動きを見ていたし、行ったら迷惑をかけてしまいそうで動けなかった。自分の考えが甘かったです。僕のミス。情けないです。また出直してきますよ」

 武田豊樹は昨年のリベンジならず。淡々と帰り支度する。
 「去年は平原が主導権を取ってくれた訳だし、任せていた以上、仕方ないですね。悔しいけど、これでレースは終わりじゃない。ゴールした瞬間から、『来年また(GPに)行くぞ』と思った。状態は今までで一番良かったし、勝ってもおかしくなかったと思う。来年はタイトルを獲って乗ります」

  海老根恵太は「関東勢が中団だったので、そこからレースを組み立てた。いつもの平原なら打鐘で行ってたんだろうけど…。失敗しました」とほぞをかむ。

レース経過
 号砲が鳴ると村上博幸がいち早く飛び出してSを取った。並びは村上義ー村上博ー市田、平原ー武田に海老根が続き、佐藤ー山崎ー伏見の順で並んだ。
 周回が進み、赤板ホームから佐藤が上昇して前を押さえる。平原は北勢を追わなかったため、引いた近畿勢がすんなり中団に入り、7番手に平原が収まった所でジャンが入る。佐藤が誘導との車間を開け、緩めて後方の様子をうかがうが、平原は外にはずしただけで結局は7番手に止まった。佐藤は腹をくくって最終ホームから本格的に踏んで先行する。佐藤が逃げる一方、村上義が2コーナーを出た所でスパート。村上義が迫ると、山崎は合わせて番手から踏み込んでいく。これで村上義は外に浮いて失速したが、村上博が勢いを殺すことなく、巧く内に下りて追い込む。直線で山崎、村上博の力比べとなり、最後は村上博が渾身のハンドル投げで優勝を手にした。

 

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