KEIRIN EXPRESS|日刊プロスポーツ新聞社
HOME
特別競輪
記念速報
コラム
お問い合わせ
リンク
プロスポーツ
赤競.NET
永久保存版オールガイド
FAX-NET赤競
HOME > 特別競輪 > 第52回朝日新聞社杯競輪祭
特別競輪
第52回朝日新聞社杯競輪祭
◆記事タイトル画像◆
 
   
>>決勝戦の赤競.NETを表示する
 これぞチャンプの底力、海老根恵太が弾丸まくり炸裂でグランプリ連覇の夢を繋いだ! グランプリへ出走権は実質的に残り一つ。今年最後のGTファイナルへ腹を括った。「特別の決勝で派手な叩き合いは少ないし…」。超新星の深谷知広に、村上義弘や新田祐大が叩き合いを挑むか、準決勝終了直後は考えに考え抜いた。ライバルの動向が読み切れていなかった。それでも、「勝ててないのはちょっとギアが足りなかったからか、言い訳にもしていた。92ギアを使うかかなり迷ったけど、どうせなら4回転だと。村上(義)さんが深谷相手に黙ってないはずだし」と、09グランプリを制した4回転へギアアップ。選択がピタリ。叩き合い激化のはずと、展開想定の決め付けも、ものの見事に的中させた。「勝つことしか考えてなかった」。準優勝でも、条件付きでグランプリシートが手に入るなど念頭になかった。
 勝負所では度胸が満点だった。打鐘過ぎ2センターから、深谷と村上義で超ド級の叩き合いが勃発。自身は正攻法から村上義ラインに切り替え、最終ホーム過ぎに踏み出した。だが、真後ろには仕上がり抜群の新田が位置している。それでも、「被る前に踏むしかない。(新田に)差されても」と、迷い無きフルダッシュが昨年青森親王牌以来のG1タイトルを呼び込んだ。
 開催前は実は弱気だった。今年は実は優勝が地元千葉のF1戦のみ。夏場から戦歴アップを実感していたが、ミニスランプ脱出へゲンかつぎもした。「昌己と行くと、いつも成績がよくなる」と同期で仲が良く、グランプリ覇者として酸いも甘いもお互いに噛み分けた井上昌己ら、九州組と石垣島へ合宿を張った。それでも絶好調時までに状態が仕上がらず、前検日には「永久1番車? この4日間でどうせ最後になるかも。まあ、楽しみますよ」と自嘲気味な所信表明をせざるを得なかった。
 深谷とは3日連続で対峙した。もちろん、初日特選に準決勝、決勝と同一シリーズで3度の単騎戦は初体験。二次予選は中団確保から、ギリギリ3着に届くまくり差しで。準決勝はやはり中団確保からバックまくりで、深谷の先行力を計った。「イマイチ」の仕上がり不足は、丁寧に細心に、そして『ヨコ』をふんだんに効かして凌いだ。
 さあ、次は連覇がかかったグランプリ。「タイトルは2つ取って本物と言われますし、今は嬉しいとしか実感が。ホントはみのり(SSカップ)にどう備えようかと考えていた」と嬉しい誤算に、「単騎戦が続くのは、周りの評価が良くないということ」と前置き下した後で「立川では単騎になるかも。直線が長いとかバンクが重いとか関係無い。奥さんの実家が立川市だし。気持ちを強くもつだけ。準備する時間が短いけど、まずは体を休めて、その後でしっかりと準備します。連覇が出来るのは自分一人だし」。課題はしっかりと分かっている。夢舞台をヒートアップさせるのは、09年MVP男の海老根だ。

 新田祐大は僅差で戴冠を逃がした。G1ファイナルはこれで4度目。レース直前の前売りでは一時、岡部と二車単車券が一番人気に推される程、選手間でもファンからも動きが評価されていた。ゴール寸前で海老根に鋭く迫ったが、「海老根さんより先に仕掛けたかった。最後は落車するぐらいの覚悟でハンドルを投げていれば…」と、悔しさをにじませるコメント。
 岡部芳幸は新田を追っての3着入線。「どうせ自分が3着なら、新田が勝てば良かった。ただ、新田は頑張った。オレ? 今のデキでは3着なら上出来でしょう。とにかく今回は後輩達のお陰。初日は(菅田)壱道、2日目は(佐藤)友和、そして準決勝から新田に頑張ってもらった」。
 深谷知広は叩き合いを制しただけでは、もちろん満足はしていない。「自分のレースは出来た。ただ、(村上義を)合わせた後で、踏み直す脚がなければ勝てないと分かった」。またの多くの収穫を得た。
 山口富生は深谷と共に、海老根に飲み込まれた。「深谷は凄い加速。こっちは最終ホームで脚がいっぱいだった。下のクラスなら簡単に合わせられるけど、村上(義)も強かったしね」。
 村上義弘は深谷を叩けずじまい。カマシ不発に、「完璧に力負け」と超新星の力量を認めた後で、「誰も行かないなら、オレが勝負するしかないと。得るものは何もなかった」。
 兄・義弘が不発の非常事態に、村上博幸は中団四番手へ切り替え、バックまくりで応戦した。「あー悔しい、完全に力負けです。最終バックからの判断はあれしかなかった。ただ、今回は良い手応えをつかめた。グランプリが楽しみ」。


レース経過

 ゆっくりとしたスタートとなったが、単騎の海老根恵太が誘導員を追って正攻法に構える。その後ろには新田祐大—岡部芳幸の北日本ライン、村上義弘—村上博幸—市田佳寿浩の近畿トリオが中団、深谷知広—山口富生—飯嶋則之が後ろ攻めで周回を重ねる。
 青板の2センターから深谷が上昇を始めると、中団の村上義はサッと車を下げる。深谷の動きに合わせて新田、海老根も踏み込んで、3車併走のまま2コーナー手前で誘導員を下ろす。打鐘前に新田を叩いた深谷がひと呼吸置くと、そこにすかさず村上義が襲い掛かる。最終ホームから2人で壮絶なモガき合いになったが、深谷のダッシュの前に1センターで村上義は後退。代わってバックからまくり上げた村上博も飯嶋の外で一杯になる。これで後方の選手のまくり頃になったが、明暗を分けたのは最終ホームでの位置取り。村上義の仕掛けに乗って上手く7番手に入っていた海老根が2コーナーからまくり上げると、4回転の破壊力を遺憾なく発揮して前団をひと飲み。猛追する新田を退け、GP最後の切符を手に入れた。

 


HOME このページのトップへ戻る


Copyright(c) 2010 Nikkan Prosports Shinbunsya kk. All rights reserved.
当サイトに掲載された全ての文章、画像について無断転載、直接リンクを禁じます。
お問い合わせはwebmaster@nikkan-pro.co.jpまで