KEIRIN EXPRESS|日刊プロスポーツ新聞社
HOME
特別競輪
記念速報
コラム
お問い合わせ
リンク
プロスポーツ
赤競.NET
永久保存版オールガイド
FAX-NET赤競
HOME > 特別競輪 > 第53回オールスター競輪
特別競輪
第53回オールスター競輪
◆記事タイトル画像◆
 
   
>>決勝戦の赤競.NETを表示する
  「何よりもこのホッとした感がたまりませんね」と満面の笑顔で共同記者会見場に姿を現した。驚速の7番手まくりでビッグタイトルを手にした山崎芳仁。しかも地元での偉業に、場内からは「ヤマザキ」コールが湧き起こった。用意されたミネラルウォーターをグッと飲み込むと、安堵の表情で喜びを語る。
  「今まで獲ったタイトル6つを足しても足りないぐらいの喜びですね。直前に入れ込まないで練習したのが、こんなに良い結果を生んでくれたんだと思います」
  地元でのレースは大の苦手。今まで記念優勝は一度だけ、今年3月には緊張のあまり平静さを失ってツキバテするなど、普段の飄々とした態度からは想像もつかないほどナーバスになってしまう。その大きな壁を打ち破っての勝利に子供のような笑顔を見せた。
  「バンクの内側には見知った顔もたくさん見えるし、顔見せでは僕へのかけ声しか聞こえなくて、余計にプレッシャーになりました。でも、今回はバンクレコードを出したことで調子は良いという確信をもって走れたのが良かったんだと思います」
  レースもほぼ思い通りの展開。冷静な判断が勝利を生んだ。
  「前を取って、誰かが押さえに来たら誘導を使わせながら下げる作戦。駆けるのは武田さんか吉田君なので、二人の位置を見ながら前にいようと考えていました。慎太郎さんが『どうせ山崎だけを押さえようという動きをしてくるだろうから、変に位置を取りに行かず、いつもの感じで構えた方が良い』と言ってくれたので、落ち着いて走れましたね」
  これでグランドスラムに王手。今年前半からの不振を吹き飛ばし、さらなる高みを目指す。
  「周りが強くなってきただけで、自分の力が落ちた訳じゃない。それだけレベルが上がってくれれば競輪界ももっと面白くなるでしょう。(グランドスラムに王手は)ちょっと信じられないですね。デビューしてから、こんな日が来るなんて思いもしなかった。ここまで来たら狙うしかないですね。グランプリもですけど、来年のダービーを目標に頑張ります」

  兄弟々子の佐藤慎太郎は完璧マークの2着。これで賞金順位を大きくジャンプアップし、来年のSS班入りを大きく引き寄せた。
  「山崎君はとにかく強い。でも最終HSで行けたかな…。まあ、行ってても結果は同じだっただろうけど。今日は山崎の得意な走りで戦ってほしかったし、自分も一緒に表彰台に乗れて良かったですよ。これからはSSを狙うしかないですね」
  検車場には二人の師匠・添田広福氏も姿を見せた。愛弟子2人の活躍に目を細めながら、「山崎が今までやってきたことは間違いなかったですね。慎太郎もよく頑張った。今日のワンツーは競輪界のためにも大きいと思います」と語る。

  3着には海老根恵太が突っ込んだ。表彰台には名を連ねたものの「山崎君より先に仕掛けないとという意識が強くて、自分のタイミングでは踏めなかった。できればもう少し仕掛けを待ちたかったんだけど。脚に余裕がない状態で仕掛けた分、行けませんでしたね」と表情は冴えない。

  敗れた武田豊樹は神山雄一郎とクールダウンしながら反省会。検車場に戻ると「山崎君の力を認めざるを得ませんね。今日は脚を使ってでも山崎君より前にいたかった。それで後ろから来る山崎君と力勝負をして負けたわけだし、僕が弱いということ。準決勝をパスして勝ち上がったけど、やっぱり走って刺激を入れたかったですね」。

  神山雄一郎も武田の健闘を称える。
  「武田も先行したそうな雰囲気だったね。まあ自分は脚に余裕がなかったけど、今回は落車明けにしては上出来だったと思います」

  先行態勢に入ったのは西勢。駆けた吉田敏洋は「ギアが掛かっていたし、できるだけ別線の勢いをもらってカマしたかった。でも、あれより遅いタイミングだと武田さんとモガキ合いになっちゃうでしょう。最後は合わせるつもりで車を持ち出したけど…」。

 諦め顔の大塚健一郎。「止めに行きたかったけど(山崎が)大外だったので厳しいですね。駆けてくれた吉田君の心意気は嬉しかった」。

レース経過
 号砲と同時に各車が飛び出していくが、佐藤慎太郎がいち早くスタートを取った。隊列はすぐに整い、山崎芳仁―佐藤―佐々木雄一の地元勢が前受けし、以下は吉田敏洋―大塚健一郎、武田豊樹―神山雄一郎、海老根恵太―石毛克幸の順で並んだ。
  レースが動いたのは青板周回のバックから。まずは海老根が早めに上昇をはじめ、武田がこれに続いていく。赤板で海老根が前を押さえると、山崎はすぐに車を下げたため、海老根が入れ替わって誘導の後ろに入る。山崎は3番手の内で止まり、武田と併走になった。外の武田はジャンで踏み込んで先頭に立つと、さらに吉田がその上を叩いて前に出る。ペースが上がり、吉田はそのままホームから先行態勢に入った。武田はうまく3番手を確保し、さらに5番手に海老根、山崎が7番手で一本棒となる。吉田が懸命に逃げるなか、武田は2コーナーを出ると早めにスパート。しかし、大塚のけん制もあって思うように車が伸びていかない。すると、前がもたついているところに山崎が襲い掛かる。山崎は前との車間を詰める勢いでスパートすると、一気に前団を捕らえてまくり去った。3番手の佐々木は付け切れず、最後は佐藤とのマッチレースに。しかし、佐藤も追走が精一杯で、山崎が力強く押し切って優勝を手にした。

 

HOME このページのトップへ戻る


Copyright(c) 2010 Nikkan Prosports Shinbunsya kk. All rights reserved.
当サイトに掲載された全ての文章、画像について無断転載、直接リンクを禁じます。
お問い合わせはwebmaster@nikkan-pro.co.jpまで