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特別競輪
第26回読売新聞社杯全日本選抜競輪
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 いかにも佐藤友和らしいクレバーな走りだった。鉄壁という言葉がふさわしい関東勢の布陣。脇本雄太の発進で他のラインは手も足も出なかった寛仁親王牌を彷彿とさせるメンバー構成の決勝戦だったが、権謀術数を駆使して難戦を制した。前日から「策はあります」とうそぶいていたが、有言実行とはこのこと。関東ラインを分断する素振りを見せながら、素早く下げて中団キープ。最後は豪快なまくりで宿願のG1タイトルを獲得した。
  「嬉しいですね。今日はとにかく前々で勝負。もしも神山君が早めに行くようなら、下げてカマす予定でした。関東勢が来るのが遅かったし、村上さんも思ったよりは遅いタイミングだったので、こじ開けるつもりで粘りました」
  レースはもつれにもつれた。武田豊樹が番手から出て、佐藤の計算は狂ったかに見えたが…。
  「武田さんが前に踏んでいってしまったのを見ていたんですが、隊列に入るタイミングがあったので、まず配置を確保して、そこからはすかさず踏みました。調子も良かったので、前に行けるという自信はありましたね」
  4コーナーでは落車もあった。態勢は佐藤の圧勝だったが、最後まで確信は持てなかったという。
  「後ろの影が全部消えて、逆に怖いと思いましたね。車間が思い切り空いているわけだし、それを追いかける勢いとスピードはどんんなものだか分からない訳だから。本当に勝ったと思えたのは確定放送を聞いてからです」
  飛ぶ鳥を落とす勢いでスターダムを駆け上がっていた08年。全プロの落車で大けがを負い長く低迷した。
  「その後もたびたび落車して、体調も精神的にも落ち込んだ。強気になれない時期が続いてしまいましたね。ようやく戻ったなと思えたのが去年の武雄記念の優勝。それからは長いスパンで調整してきて、この全日本に合わせてきました」
  これでグランプリ出場も決定。表舞台に返り咲く。
  「まだ半年弱ありますからね。G1戦も2つ残っているし、両方決勝に乗って、その内1つは獲りたい。G2もあるし、欲張っていきたいですね」

 佐藤とラインを組んだ成田和也は思わぬ形で連結を外してしまった。
  「友和君を入れようとして外をさばいていたんですけど、下がって来ちゃったのに対応できず、切り替える形になってしまった。そういうつもりはなかったので申し訳ないですね。一緒に表彰台に乗りたかった」

 無念の表情を浮かべる村上義弘。手にしたシューズカバーを叩きつける。
  「遠い。タイトルが遠かった。佐藤君が粘ったことでいい展開になったと思ったら、神山拓弥君が下がってきてしまった。あれは考えてなかった。最後も無理矢理まくっていったけど、強引な感じで来たブロックを受け止めるので精一杯でした。結果が全て。どうなってもいいからタイトルがほしかった」

 関東勢は最悪の形になってしまった。武田豊樹は最終ホームからのスパートで、佐藤の快速まくりに屈した。最後は落車に乗り上げて無念の再乗ゴール。
  「踏む距離が長かった。佐藤のイン粘りも考えてましたよ。みんな勝つために必死だからね。粘られれば、自分が先行するしかない。村上君にカマされちゃうから。まあ、簡単には勝てないですよ。次? オールスターですね。恥骨を傷めたみたいなので、しばらく休みたい。落車して弱くなるのは弱い証拠だし、試練だと思って頑張ります」

 神山雄一郎は5年ぶりのG1制覇を地元で果たせなかった。武田豊樹がまくられ、自身は最終四角で落車し、「まくられた時点でチャンスはなくなったね。武田もオレも外へ外へ踏まされて苦しかった。武田は強引に仕掛けた感じになったし。シリーズの流れは良かった。武田や(神山)拓弥とも決勝に乗ったし。チャンスだったけど、G1はそんなに簡単じゃない。ケガ? 大丈夫。拓弥は落ち着いて戦えていたし、頼りがいがあるね」。

 神山拓弥は最終ホームで叩かれて圏外に。「粘られたら流す、武田さんが仕掛ける作戦でした。もっと力を付けて、今度こそは関東の先輩達と決めたいですね」。


レース経過
 号砲で成田和也がゆっくりと出て、目標の佐藤友和を迎え入れる。佐藤―成田―中村浩士で前団、中団には村上義弘―大塚健一郎が入り、神山拓弥―武田豊樹―神山雄一郎―木村貴宏が後攻めの形で隊列はで落ち着く。
  打鐘前の2コーナーから神山拓弥が一気に仕掛けると、村上、佐藤もこれに合わせて踏み上げ、佐藤が神山拓の後位に飛び付く。佐藤との競り合いを嫌った武田は最終ホーム手前で自力に転じて最終主導権。神山雄、木村はしっかりと続き、神山拓を締め込んだ成田が4番手に切り替える。6番手の位置で立て直した佐藤が最終2コーナーから好回転でまくり上げると、神山雄のけん制をかいくぐって3コーナーで先頭に踊り出る。佐藤追走の中村は更に外をまくってきた村上を2センターで強烈にブロックするとバランスを崩して落車。武田、神山の2人がこれに巻き込まれる。結局、最後まで力強く踏み切った佐藤がそのまま押し切り、G1初優勝を飾った。2着には村上が入り、落車を避けて追い込んだ成田が3着。

 

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