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第19回寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント
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 バンクの外からは単調なレースに見えたかもしれない。だが、舞台裏では熱い戦いが繰り広げられていた。格上選手をなで切りにしてきた脇本雄太に対し、ナショナルチームでもしのぎを削る渡辺一成や新田祐大は闘志をむき出しにする。準決勝で対戦した武田豊樹も「僕より勝った部分がある」と認めざるを得ないと同時に、本気で戦う相手としてマーク。この包囲網とプレッシャーを打ち破って、脇本は公言していたとおり主導権を握った。これで完全にレースは近畿勢のものになった。村上義弘が番手まくりを打つと、ゴール前は完全に市田佳寿浩との一騎打ち。死闘を制したのは市田だった。
 「今日はスタートからゴールまで、競輪選手として最高のレースができたと思います。思わずガッツポーズをしてしまいまいしたね。交わせたかな? という感じでゴールしたので、もしかしたらやっちゃったかもと思いましたよ(笑)」
 初めてG1の決勝戦に乗ってから10年。ようやく念願が叶った。
 「自分で言うのもなんですが、僕は怪我も多かったし、体調の浮き沈みが激しい選手でした。ここでは語り尽くせないぐらい色んな事がありましたけど、それがあったから今がある。泣かないかなと思ったけど、オーロラビジョンで確認したら、涙が出てきちゃいました。表彰台では格別の気持ちでしたね」
 表彰式ではファンの大声援を浴びた。ここまで村上兄弟の後塵を拝してきたが、初タイトル、そして初グランプリを決めて肩を並べた。
 「村上義弘さんは最大のライバル。良い時も悪い時も側にいてくれた人です。“次は市田だ”と応援してくれたファンの気持ちにも応えられました。まだまだ走りは未熟だと思いますけど、この後もG1はありますし、グランプリに向けてステップアップしていきたい」
 村上義弘は表彰式を終えるとたくさんの報道陣に囲まれた。鉄の結束を誇る近畿勢。その総帥役も、今回の決勝戦には特別な思いを抱いている。
 「脇本君という存在が近畿勢を盛り上げてくれたし、市田も兄弟のようなものだから、本当に今回は嬉しいですよ。脇本君は控室でもリラックスしていたし、その様子を見て大丈夫だと思いました。今日は自分も100%の走りをできたので満足です」
 市田の優勝に大きく貢献した脇本雄太。初めて経験する大舞台に臆することなくスタイルを貫いた。レース後、市田に声をかけられて、感極まって涙をこぼす場面も。
 「緊張したし、アップ中から珍しくピリピリしちゃいました。言葉にならないですね。今日は前に踏むことしか考えず、必死に走りました」
 悔しさを露わにして引き上げてきた渡辺一成は検車場に座り込むと思わず天を仰いだ。絶好の位置を確保していただけに、その悔しさもひとしおだ。
 「仕掛けられませんでしたね。このバンクは外が伸びない。市田さんの内も気になってしまって。行くタイミングはあったんですけど、無理に出ると合わされてしまうという頭もあって。番手が村上さんだし、強烈ですからね。でも仕掛けるべきでした」
 新田祐大も見せ場を作れなかった。
 「宮杯の時はただ、発進すれば良いだけの役割だったけど、今日は後ろが伏見さんだし、自分にもチャンスがあると思っていたことが、逆にレースを小さくしてしまった。最初から中団狙いだったことで、結局後手を踏む結果になってしまいました。気持ちの中に少しでも『先行』の意識があれば、勝負どころでもっと前に踏めていたんでしょうけど」
 関東からただ1人の優参となった武田豊樹。最後は渾身の力でまくり上げたが届かなかった。
 「僕が動かなくてはレースが始まらないので、いったんインを斬ったけど、脇本君を出させたところで、北日本勢に内、外から来られてしまったのが痛かった。僕の甘さが出ましたね。この並びの近畿ラインを相手にするのは、さすがに厳しいですけど、僕自身、最低でも一成君の位置(4番手)は獲らなくちゃ。そうなれば、また結果も違ったはずですから」

レース経過

 号砲で渡辺一成が勢い良く飛び出し、正攻法に構える。渡辺—山崎芳仁が前受け、福島勢は別線勝負で新田祐大—伏見俊昭が続き、その後ろに脇本雄太—村上義弘—市田佳寿浩の近畿勢、武田豊樹—山口富生が後攻めの形で隊列は落ち着く。
 青板から武田が上昇開始。バックで前団に並びかけると、その上を脇本が叩いて早くも先行態勢に入る。4番手は渡辺が譲らず、武田は下げて6番手、新田が8番手の態勢で赤板を通過する。脇本は後続の出方を気にしながらペースアップ。後ろからの仕掛けはなく、一列棒状のまま打鐘、そして最終ホームを通過する。村上は2コーナーから番手発進。力強い踏み込みで別線の巻き返しを許さない。直線は村上、市田のマッチレース。粘る村上を市田がゴール前で交わして悲願のG1初制覇を果たした。村上が2着に粘り、近畿ワンツー決着。最終2センターで空いたインコースを突いた武田が3着に突っ込んだ。


 

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