>>決勝戦の赤競.NETを表示する
連日の積極策で勝ち取った優勝だった。準決勝を先行で戦い、自らのラインでワンツースリーを決めた事で、決勝戦には関東勢が5人。神山雄一郎ら追い込みの先輩たちに任された位置は武田豊樹の番手。何事もなければ間違いなく優勝に一番近い位置なのは間違いない。だが、目標のない山口幸二に競り込まれる可能性も高い。準決終了後に「武田(豊樹)さんの番手を回る以上は、誰が来てもブチ落とすくらいの覚悟で走る」と失格覚悟の気持ちで走る決意は固まっていた。結果的に連係が綺麗に決まった形ではなかったが、武田が新田と踏み合っていたところを、バックからまくり上げて宮杯連覇を決めた。
「決勝のメンバーが出てから武田さんに『オレが前で走ってもいいか?』って言われて、勝ち上がりを全部先行で戦ったので疲れていたし、甘える事にした。武田さんの番手でのプレッシャーよりも、後ろの追い込みの先輩がラインを固めてくれたし、関東で誰か優勝しないといけないというプレッシャーが強かった。ラインで確定板を独占できたし非常に満足のいく結果。GPを決めた事は非常に大きいし、この後の戦い方も変わってくる。武田さんだけじゃなく、今日ラインを固めてくれた先輩たちもGPに乗せる様に走っていきたい。今回は函館から使い始めた自転車と、3.93のギア倍数が凄く合っている。直前に地元大宮バンクで乗り込めたのも大きかったですね。調整が全てうまくいった感じ」。
去年も平原康多が宮杯を獲った事で流れは関東に傾いた。今年は4月小松島・春一番決勝での失格が原因で、8月宇都宮全日本選抜に出られない事が決まっている。「7月の前橋(寛仁親王牌)では武田さんの前を走りラインに貢献したい。関東勢を一人でも多くGP乗せるような競走をしていく」と強い決意を語った。今年前半は村上兄弟に競輪界の話題を独占されたが、後半の流れは去年同様に関東勢が支配していきそうな雰囲気だ。
関東ラインの三番手を固めた神山雄一郎は平原のまくりにマークし、差し迫る勢いの二着。
「デキは日に日に良くなっていったね。最後も迫れたし満足。この後はSSの特権を生かしてしっかり休みます。今年最大の目標は8月の地元ビックですからね」
兵藤一也も巧みな追走を見せて三着に流れ込んだ。「自分は付いていっただけですよ。平原はギアも掛かっているし、あの展開じゃ突っ込むのは無理。よくやったほうだと思いますよ」。
諸橋愛は「前に二人いると、平原の仕掛けるタイミングが見えないし難しい。その分、踏み出しで口が空いてしまったね」。
孤軍奮闘した山口幸二は競走を振り返り「村上義も前のレースで頑張っていたし、気持ちが入りました。スタートして前受けした方の外で競る事しか考えていなかった。結果的に新田の番手は奪ったし、やる事はやりました」と納得の表情。
福島コンビは山口の競り込みによりライン崩壊。先行した新田祐大は「前受けは作戦通り。誤算は山口さんが外で競って、武田さんの動きが見えなかった事。合わせる自信はあったけどあの形では厳しい。後ろがどうなっているかは分からなかったけど、武田さんを突っ張ったし感じは良かった。ただ平原さんが見えて力が抜けてしまった」。
渡辺一成は番手戦の難しさを痛感したようだ。
「新田の動きが自分の踏むなと思う所と違うので難しかった。そのせいで遅れてしまった。今度はG1の決勝をラインの先頭で走りたい」
渡辺晴智は「(渡辺)一成は立て直してからまくっちゃう勢いでしたよ。任せた結果だから仕方ない。今回は最近の中で一番良い状態だった。久し振りにG1の決勝の雰囲気を味わえたし、また練習する気持ちが沸いてきました」。
|