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正直、押し切ったという確信は持てなかった。それでも「ワンツーに対して嬉しかった」。勝者はどちらでもいい。そこには、えも言われぬ達成感があった。
「逃げ切ったとは分からなかったし、抜かれたような気がしたんですけど、ダービーに続いて(決勝で)ワンツーを決められた。特に市田とかは苦しい時も共にしてきましたから、今日はワンツーできたことに対して嬉しかったです」
ダービー最終日も直前のレースで市田佳寿浩が1着。今日も9レースで村上博幸が、10レースで松岡健介が1着と、最高の形で決勝を走る先輩達へバトンをつないだ。これに燃えない村上ではない。「みんなが力をくれるようなレースをしてくれてたんで、しょうもないレースだけはしたくなかった」。より集中力を高めてレースに臨んだ。
「優勝するとはあまり思ってなかったんで、とにかく一戦一戦力を出し切ることだけを考えてた。結果的に最高の形で終われて信じられへん気持ちですね。この5、6年はビッグレース(優勝)というのが見えへんところまで来てたんで。自分だけやったら乗り越えて来れへんかったかなあと思うし、そういう意味でもみんなに感謝です。この後はやっぱりG1を優勝するっていうのが大きな目標になります。ただ今までどおり一戦一戦力を出して、今まで僕が周りの仲間から支えてもらった分、今度は僕が良いレースをしてきっちり刺激を与えていきたい」
こうなったら、が然期待が高まる兄弟でのGP出場。「それが一気に近づいたんで。あとはしっかり今までよりも気持ちを引き締めて頑張っていきたいと思います」。暮れの大一番へ、兄・義弘が大きな一歩を刻んだ。
村上マークの市田佳寿浩は僅かの差で優勝に届かなかった。それでも「僕の仕事はギリギリまで他のラインの動きを見て仕事をする。最後までライン重視で走って直線勝負。落車でどうなってるかは最後まで分からないので、気は抜けなかった。賞金の上積みもできたし、近畿のSS3人でグランプリに乗れるようにまた頑張りたい」。あらためて固い絆を強調し、村上の優勝を祝福した。
ホームで平原と接触するアクシデントはあったが、朝日勇は中近3番手を離さなかった。
「ホームで平原が後輪に突っ込んできた時に踏み込んだから、離れずに付いていけた。初めてのビッグの決勝戦で表彰台に乗れるなんで出来すぎです」
前の落車を避けた山賀雅仁だが、逃げる中近ラインはあまりにも遠すぎた。
「よく落車を避けられましたね。坂本君がまくりでも先行でも、どんな形でも仕掛けると思ってたので、九州ラインから組み立てるつもりでした。初めての決勝戦でこんな形になったのは残念だけど、次に乗ったときは良い勝負ができるように頑張ります」
師弟コンビが強力近畿コンビにどのような戦いを挑むかも注目された。今回は絶好のチャンスかに見えた加倉正義だが最終ホームでいきなり目標を失ってしまった。
「残念、ウマなし…。落車を避けて、ホッとした部分があって離れてしまいました。射程距離なら何とか3着までと思ったけど、これもレースなんで。いつかまた亮馬と決勝に乗るチャンスが来るように、まずは自分が頑張るしかないですね」
坂本亮馬は「上がって後ろの動きを見ながら山おろしで駆けようと思ったら…。さあ行こうと思ったら、何が何だか分からないうちに転んでた」と思わぬ形で戦線離脱。まさかの落車失格となった平原康多は「バックを踏み切れなくて突っ込んだ感じ」と搾り出すような言葉でレースを振り返った。
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