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これぞまさに輪界最高峰のレースだ。ホームガマシの平原康多を筆頭に、今年のタイトルホルダーたちが自慢のスピードで詰め掛けた大観衆を魅了した。激戦を制したのは海老根恵太だった。伏見俊昭のまくりに乗ると、武田豊樹と横一線でのゴール。スタンドがどよめくなか、海老根は高々と拳を突き上げた。
「ゴールした瞬間は「抜いたかな」と思ったんですが、手を挙げちゃっていたので、もし2着だったらかっこ悪いなと思ってました。伏見さんを抜いたら1着かなと思っていたら、まだ内に武田さんがいたので諦めずに踏みました。今日はイメージが湧かなかったので、とりあえず力を出し切ることだけでしたね」
単騎での難解レースだったが、「イメージが湧かなかったので、とりあえず力を出し切ることだけでしたね。(後ろから押さえた)山崎の先行はないかなと思ったし、最終バックはちょっと位置が悪かったけど、平原が早めに踏んでくれたので、チャンスをもらえましたね」と冷静な判断。そして目の前の伏見が先にまくるという運も味方した。
「踏もうと思ったら、ちょうど前の伏見さんも踏んでくれたので、かぶらないように付いてって、最後踏み込もうと考えてました。レース後、師匠が来てくれたのを見て、大泣きしちゃいました。嬉しかったですね。まさか自分が優勝できるとは本当に思ってなかった」
初のSS、そして初のグランプリ出場を果たした09年。そして来年からチャンピオンジャージを身にまとっての戦いが始まる。
「来年からがちょっと大変なんで、また気を引き締めて頑張りたい。グランプリユニフォームで(1番車なので)、S取りの練習をしてきますよ(笑)。来年は、またタイトルを獲ってグランプリに出られるように頑張りたい。これで競輪界一にはなったけど、脚力はまだまだ足りないので、もっと力を付けて千葉と南関を盛り上げていけるよう頑張ります」
武田豊樹にとっては悔やまれる結末となった。3番手に入った山崎が気になったとはいえ、4角番手の絶好位置で回ってきた。それでもゴール寸前で1億円と賞金王の座はその手からこぼれ落ちた。
「ゴールした時点で『負けた』とわかりました。平原君がすんなり先行なら、結果はまた違っただろうけど、山崎君の動きが誤算でしたね。GPタイトルは逃したけれど、それで自分の今年の頑張りが無になるわけでもないし、また来年もグランプリに乗るため1年間頑張って行きたいと思います。結果は悔しいけれど、今日は良いレースだったですよ」
バック過ぎからいの一番にアクションを起こしたのは伏見俊昭だった。そのまま前団を飲み込むかに見えたが、結果は3着。史上最多タイとなるグランプリ3Vは来年以降に持ち越しとなった。
「悔しいですね。前を走ってるのが平原、武田さん、山崎だから、届くのかな?と思ったけど行くしかないし。武田さんを越えるのは容易じゃないと思って、そこで脚力をロスしました。正直狙ってたけど、やるべきことはやった。力負けですね」
後ろ攻めから3番手に飛び付いた山崎芳仁だが直線で伸びを欠いた。
「とりあえず前々に踏んで、動いてから位置を取ろうと思ってた。バックで平原が退避したときに武田さんが行きかけたけど(後ろの)俺を見てやめた。それで差し一本に切り替えました。僕にはあれが精一杯、いい位置にはいたんですけどね」
神山雄一郎は今年も悲願達成はならず。「2人は強いから、『勝ちに行け。俺は付いて行くだけ、チャンスがあれば勝ちに行く』と言ってた。いい展開でしたね。俺がきっちり付いていけば(優勝は)武田だった。でもしょうがない、精一杯です」とレースを振り返ると、最後は「引退できません。来年も!」と笑顔を見せた。
石丸寛之は8着に終わったグランプリを「あっと言う間だった。楽しめたと思う」と振り返る。
「海老ちゃんが駆けそうな雰囲気があった。結局(海老根は)行ったわけだし、何か感じてたんでしょうね。海老ちゃんが踏み出したときに外に永井がいた。それが気になったにしても、凄いスピードだったなあ。バックから自分で行きたかったけど、元気でも行けてるかどうかですね」
夢舞台での連係を果たした岐阜コンビは後方に置かれる苦しい展開に。永井清史は「難しかったですね。引くのを迷ったのがよくなかった」とガックリ。加藤慎平は「前受けになったけど、誘導は上がるし、周回の並びを考えたらチャンスはあった。でも永井が誘導を残して引いて来たらムリ。仕方ないね」。
グランプリでも果敢に風を切った平原康多は「どちらかに獲ってもらいたかったけど、海老根さんが強かった」と力を出し切っての結果に納得の表情だった。
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