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「こんなことは、選手生活で一回あるかないか」と思わず自分を激賞した。完全Vはバンクレコードのおまけ付き。全ての面で他の107人を寄せ付けない内容での完璧な勝利を手にした。
「前受けは作戦です。突っ張り切れれば、後ろは成田さんに任せればいいことだし、無理矢理にでも出ようとするなら、引いてカマシを狙えばいいと思ってました。向こうに前だけは取られたくなかったんです」
関東勢が打鐘で押さえると、平原後位の番手戦は熾烈を極める。隊列が短くなったところをめがけてカマシを放った。
「あそこしかないというタイミングで踏めましたね。完璧な内容の優勝だったと思います。今日は(村上)博幸が関東に競り込んだことで、自分にチャンスが向きました。正直、すんなりだったら厳しかったと思いますよ」
対戦を終えた武田が「オールスターの時とは別人だった」と評した今回の山崎。競輪祭、そしてグランプリに向けて期待はふくらむ。
「いつもなら練習しすぎると体調を崩すことが多かったんですけど、今回はそれがなかったので手応えは感じていました。これから人気を背負うことになると思うけど、まずは体調を維持することを心がけて頑張ります」
成田和也にとってもチャンスの大きいレースだったが、やはり怪物を抜くのは容易ではなかった。
「全力で抜きにいったんですけど、力不足でしたね。ここに向けてしっかり練習できた訳じゃないから、そういうのも影響したかも知れません。山崎が決勝戦で強いのはよく分かりました」
武田豊樹は平原の番手を守り切った。優勝尾こそ逃してしまったが、その表情は使命を果たした安堵感の方が強い。
「今日はしょうがないですね。競られるからといって逃げ出すようじゃ、回るところはなくなってしまう。僕が番手を譲る理由もないですからね。ただ、僕はマーク選手じゃないので、インからいく形になってしまいました。これも平原君が作戦を考えてくれたんですけどね。彼もしっかり先行してくれたので嬉しかったです。今日はギアを3.71にして正解。3.85のままなら踏み遅れてたでしょうね。それにしても今回の山崎は仕上がってましたね。力の差を感じさせられたので、次までにしっかり上積みしていきたい」
一方、平原康多は納得できない。自らのラインを分断され、「競られるってコメントされて分かれるんじゃ、これからもそういう風になっちゃうでしょう。今日はとりあえず格好は付いたンんじゃないかな。ああなるのは分かってて(村上は)来てるんだろうけど、やっぱり山崎さんの流れになっちゃいますよね。武田さんが番手を取り切って、それでまくられちゃってるんでしょうがないですよ」と憮然としながら記者団に語る。
村上博幸にとっては意外な展開になったようだ。番手戦を挑んだが、武田に1コーナーでさばかれて敗退してしまった。
「今日は僕の技量不足です。あんなに早く平原が駆けると思わなかった。僕が切り込んで武田さんを踏み遅れさせなきゃ駄目なのに、こっちが踏み遅れちゃいました」
任せた山口幸二は淡々とレースを振り返る。
「同じ兄弟選手として、村上は同地区の選手のように感じていたし、彼が勝負する気迫を見せたので任せました。僕も、この決勝戦に乗れたことは収穫だと思っているし、グランプリを狙うためにも大きいシリーズになったと思います」
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