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地元の北津留翼がグイグイと逃げ、バック八番手に。普通の選手ならば絶対絶命の展開だったが、山崎芳仁にとっては何のその。出色のスピードであっという間にまくり去り優勝をさらった。
「今日はホームが勝負だと思っていたんですが、打鐘から踏み合う感じになってしまいました。でも、考えるより先に体が動いてくれたので本当に助かりましたね。打鐘で脚を使っているし、正直厳しいなと思っていたんですが、うまくバックまでに脚が溜まってくれて、最後に底力を発揮できました。ゴールした瞬間、シュッと脇を通り過ぎていったので(優勝は)伏見さんか僕かと思ったんですが、僕の方が勝っている感じがしましたね。昨年末のグランプリでは失敗してしまってファンの方に迷惑をかけてしまったので、今日も人気を背負っていたし、勝ててホッとしています。今朝、早く起きてギアを変えるつもりだったんですが、持ってきたつもりの52枚のギア板がなかったので、これは神様が変えちゃ駄目だと言ってるんだなって(佐藤)友和と話して、変えない方がいいんじゃないかなと言って、友和も「そうですね」って言ってくれたので変えなかった。そういう単純な話しでした。たぶん、今日の展開で4.00だったら届いてませんでしたね。運命だなと思いました。そういうヒキの強さもありましたね」
決勝前日の共同会見では『今年のテーマはチャンスをモノにする』と明言していたが、見事に“有言実行”で貫禄を示した。
「今年は決勝に乗ったら必ずチャンスをモノにすると決めていたので、それが第一に達成できたと言うことは自分自身にも納得できました。これからどうなるかは分かりませんが、これからも一戦一戦を大事に走っていきたいと思います」
これで、早々とグランプリの切符をゲット。ただし、この先も慢心せず、当然のごとくタイトルを狙いに行く。
「グランドスラムのことを言われますけど、とりあえずダービーもオールスターも決勝に乗れたらモノにしたいと思います」
山崎マークの伏見俊昭が2着に。僅かな差で優勝を逃し、悔しそうな表情で検車場に引き揚げてきた。
「山崎のカカリが良かったですね。八番手に置かれて、あの展開から良く行ったよね。俺もこのギア(3・71)で良く付いていけたなって思うよ。何とか詰められたけど、もうひと伸び欲しかった。それでも抜けないのかもしれないけど。この2着は悔しいですけど、まだ楽しちゃダメだよっていう試練なのかもしれない。そう前向きにとらえてます」
直線で外コースを踏みあげた、山田裕仁マークの山内卓也が3着に入線する。
「最終バックでは優勝かな?と思い、2センターではよだれが出るほどでした。だけど、やっぱり山崎が来ましたね。強かったです」
中部勢の先陣を受け持った山田裕仁は好位を確保して渾身のまくりを放ったが、不発に終わった。
「井上が番手だったし、そこを乗り切らないと優勝は無いと思った。だけど、ちょっとでも緩めると山崎が来ちゃうわけだしきつかったね。今の俺の力ではこれが一杯です」
井上昌己は飯嶋則之との競りをしのいで北津留翼の番手を死守したが、山田の勢いに圧倒されてしまった。
「山田さんが中団、山崎が後方と、それに小野さんが三番手にいた事も分かっていました。結構冷静にいられたんだけど、山田さんのまくりのスピードがかなり良かった。本当なら、もっと引き付けてから(北津留の番手から)出たかったんですけどね。絶好のチャンスを自分でフイにしたようなものです」
北津留翼は果敢に主導権をにぎったが、直線で力尽きた。
「打鐘後に井上さんが内から行ったら、僕が全開で踏んでホームで合流するっていうのは作戦でした。結果的に競りも長引かなかったし、僕も先行できましたね。だけど、山おろしを使ってもっとうまく駆けたかった。流すと山崎さんが来ちゃうから流せないし、打鐘の3コーナーからずっと踏みっぱなしだったんで、最後はきつかった」
飯嶋則之は北津留の番手に競り込むも、九州の作戦に屈し、四番手から様子をうかがったが、四角過ぎに落車に見舞われてしまった。
「競り負けて、その上に落車でしょう。これ以上恥ずかしい事はないですね。情けないですよ本当に…」
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