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デビューから20年。来年、不惑を迎えるベテラン選手に、最高のご褒美が待っていた。しかも、プレゼンテーターは同県の石丸寛之。それだけに、嬉しさもひとしおだ。
「今回はちょっと腰の方も悪くて、決勝までとも思ってなかったし、準優すらも乗れるとは思っていなかった。それだけに、実感はないですね。普通なら泣いてるんですけど、涙もあまり出ないんで。何か不思議な気分です。だけど、石丸と一緒に大舞台にいけた事が何よりも嬉しかったです」
レースは本線である山崎芳仁―佐藤友和―兵藤一也ラインが人気を集め、他にも荒井崇博と海老根恵太にラインができていた。そんな中、後方から強烈なスピードでまくった石丸に乗り、最後は直線で鋭く差し交わした。
「ここは直線が短いし、差している選手はあまりいないので、ましてあの展開(まくり)で差せるとは思っていなかった。ただ、二人で千切っていると思ったんで、早めに追い込んでも中を割られることはないので、早く踏めたのが勝因だと思う。三番手がいると直線まで内を締めて回るんで、多分差せてなかった」
デビューから常に第一線で活躍しており、常にその歩みを止めることは無かった。17年前に得た教訓をずっと胸に秘めていたからこそ、ここまで来れたと胸を張る。
「(17年前、練習中に交通事故に遭い大怪我をしてしまったけど)まだ若かったから、神様が与えた試練だと思って、光が見えることを信じて、怪我するたびにそう思って頑張ってきました。実際、その後は良いことばかりあったんで、アクシデントがチャンスだと思ってここまできました」
さて、年末にグランプリを迎える。“ほとんど考えていなかった”と話すだけに、準備はこれからだ。ただ、「G1の決勝に乗っている若かった頃は(タイトルを)外しても、また次に決勝に乗ればいいやと思っていたけど、(決勝に)乗れるのが3年おきとか5年おきになってくるうちに、乗る限りは獲る気持ちが強くなってきた」と意欲も十分。貪欲に、最高の結果を追い求めることだろう。
2着の石丸寛之は、最終ホームで後方に置かれる苦しい展開も何のその。出色のスピードで前団を飲み込んだ。
「(三宅と)どっちかが獲れればと思っていただけに、最高のかたちになりました。展開はある程度想定していた通り。海老根が無理にでも仕掛けるだろうから、落ち着いて踏めば大丈夫だろうと。出切ってからは海老根と山崎が前にいたし、荒井が内に詰まっていたのが分かったから、あとは友和(佐藤)だけを気にしておけばと思ってました。だけどメンバーがメンバーなだけに、ガンガンとスイッチしてくるかもわからなかったから、気が気じゃなかった」
海老根恵太(3着)は好回転でまくって山崎の先行を捕らえたが、石丸にその上をいかれてしまった。
「今日は四分戦だったし、緩んだところをすかさず行こうと思っていました。良いスピードでしたけど、ちょっと外に浮くような感じから無理やり行ったので、最後はきつかったですね。ただ、山崎の先行をまくれたのは初めて。この先、自信になります」
山崎芳仁は迷いなき先行策に打って出た。結果は着外に沈んだが、佐藤友和をグランプリに送り込むことに成功した。
「踏み出しのダッシュが良かったし、ホームでもうまく回せたんだけど、内が凄く重かったからスピードがあまり乗りませんでした。(1センターで)海老根さんが来た時、慌てて踏んだけど、“時すでに遅し”でした。それでも友和が乗れたわけだし、結果には満足しています」
佐藤友和は5着に入線。前回のビッグ(共同通信社杯)に引き続き、ここでも山崎の援護を受けて、何とかグランプリ最後の切符を手に入れた。
「海老根さんが来たときにブロックして、一角でスピードを殺したと思ったけど、全然でしたね(苦笑)。海老根さんが強かったってことでしょう。今日の展開になってしまったら1着は無理だと思ったけど、大敗を避ければ大丈夫だろうと。でも自分の力で獲ったわけでもないし、“どうにか乗れた”って感じです。やっぱりタイトルは遠いです」
渡辺晴智は海老根に全てを委ねた。
「海老根が良いレースをしてくれましたね。今開催の海老根は常に強気だったし、全て任せていました。実際に思った通りの競走をしてくれたし、展開的にも苦しいところを良く仕掛けてくれた」
荒井崇博は内に詰まってしまい万事休す。立て直しも図れぬまま終わってしまい、「一回前に出て踏んでおけば、三番手に入れると思っていた。途中まで狙っていた通りの展開だけど、海老根さんに行かれてしまったから」と言葉少な。
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