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昨年、5度のビッグ優参を果たし、すでに機は熟していた新田康仁にとって、ビッグVはノドから手が出るほど欲しかった。しかし、今年は全身全霊をかけて臨んだ3月地元ダービーであっさりと敗退。その後、6月の高松宮杯では決勝戦進出を果たしたが、すんでの差で2着と涙を飲んだ。その雪辱を晴らすべく臨んだ7月のェ仁親王牌でも優参を外すなど、幾度となくそのチャンスを逃してきた。それだけに、待望のビッグ初制覇に喜びもひとしおだ。
「今回も、(宮杯での渡辺晴智と同じ様に)静岡の皆にアンダーシャツにサインをしてもらって走りました。自分でも思ったより車が伸びたし、皆の応援が後押ししてくれた感じです。(タイトルは)20代の頃はいつでも取れると思っていたけど、ずっと取れなかったので長かったですね。親王牌(の準決勝)はタイヤ差で負けて悔しい思いをしたし、ようやく大きなタイトルが取れて嬉しい」
レースは「後手を踏んだら前々へ切り替えて自力を出そうと思っていました。ああいう(稲垣が逃げる)展開になると思ったけど、踏むタイミングが難しかった。あの位置を回っても(後ろを)引き出しては意味がないので。後ろから誰も来ていなかったのは分かったけど、早め(の仕掛け)でも難しいし、遅めでも難しいし…」と、仕掛けどころに窮しただけで、思ったほど難解な展開にはならなかった。“案外すんなり”。これが新田の正直な気持ちと言ったところだろう。
それでも、ようやくビッグ覇者”の仲間入りを果たした。ただ、この先も慢心せず、引き寄せた流れを離さないつもりで、「このサマーナイトから、次のふるさとダービー福井、そしてG1とコツコツと狙っていきたいけど、早く(G1を)取りたいですね」と、更なる極みを目指している。
加藤慎平(2着)は四角ハコの絶好の展開を生かせず、「このレースで先行するってことは、稲垣(裕之)さんが自分に1着を獲れと言ってくれているようなもの。そのチャンスを生かせなかったわけだし、本当に稲垣さんに申し訳ない」と先行した稲垣に感謝しながらも、自身を悔やむ。
迷うことなく先制した稲垣裕之は「変なところで流したりしたら、他の機動型に一気に行かれてしまう。自分で行ける、と思ったところから駆けたられたし、それでこの結果ならば仕方がない」と負けてサバサバ。
3着に食い込んだ渡部哲男は、「ホームで踏み遅れてしまい、山崎さんに入られたのが誤算だった。バックで前との車間が詰まったし、あの展開では内を行くしかなかった。ホームでしっかりと中団を取っていれば後ろの石丸さんにもチャンスがあった訳だし、申し訳ないことをしてしまった」。
山崎芳仁は、最終ホームで中団に入り込んだが、渡部哲男に内をすくわれて万事休す。なす術なく終わってしまった。
「哲男の前が空いていたんで、空いた中団にすっーと入ってしまい様子を見てしまった。そうしたら内を哲男に一気に来られてしまった。自分の予定していない動きをしてしまっただけに残念です」
単騎での戦いとなった井上昌己は山崎―兵藤一也ラインの三番手を選択したが、山崎らと共倒れに終わり、「山崎が最終ホームでカマしていれば自分にもチャンスがあったかも。それだけが誤算でした」と言葉少なに振り返る。
渡部マークの石丸寛之は「哲男がインに行ったけど、あれはさすがに付いていけない。離れちゃったのも仕方がないですよ。力を出し切っていないだけに消化不良でした」と淡々とレースを降り返る。
新田マークの内田慶は、2センターですでに脚が一杯となってしまった。
「レース中、ずっと焦りがあって無駄脚をたくさん使ってしまった。バック過ぎまで脚を溜めて集中していれば、もっとチャンスがあったかも。悔しいが、これがいまの自分の力だし仕方がない」
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