今年も北日本旋風が吹き荒れた東王座。決勝も福島4人の連係が見事に決まった。手島が渡辺の番手勝負で福島勢分断を宣言していたが、それに対する福島勢の答えは、山崎―伏見―岡部でインを斬って踏み上げた上を、ダッシュのいい渡辺が一気に叩いてドッキングをはかるというもの。これが完璧な形で決まって、渡辺が主導権を奪った時には番手に山崎がスッポリ。まくって来るはずの海老根も後方に置かれ、勝負あった感じ。直線鋭く脱け出してビッグ初制覇を遂げた山崎は名実共に超一流の仲間入りを果たしたといっていいだろう。
「嬉しいの一言。(手島と)僕は競るつもりでいたんですが、先輩達に、“お前は先行屋だし、これから追い込みに変わるんじゃなければ、競っても仕方ない。とりあえずインを斬って飛び付いて、それでも絡まれるようなら競ればいい”とアドバイスされました。勝てたのはラインの厚みのお蔭。(渡辺)一成が強いだけで、僕はただ付いて行っただけですから。今後の目標はやっぱり12月にある平の全日本。それまでもGTは色々あるけど、先行屋として先輩を連れて行く競走で頑張ります」
この作戦を考えたのは伏見だった。自身は優勝出来なかったものの、してやったりの表情を見せた。
「山崎はこれからの選手ですしね。作戦は昨日先輩にどうしようか相談してる時にパッと思い付いてみんなに話しました。渡辺は後ろを千切って来て、手島さんはどこか遅れて来るなと思ってたけど、俺の所に来ましたね。でも、落ち着いて対処できました」
またラインの四番手を固めた岡部も後輩の優勝を我がことのように喜んだ。
「自分は若手3人に任せていただけで、俺はいい意味で何もしてません。これでみんな(宮杯の)特選ですよね。連係がうまく決まりすぎて、思わず俺が手を上げそうになりました」
先導役となった渡辺も納得の表情で振り返る。
「昨日の時点では大宮記念のようなデキではないですよと言ってたんですが、走ったらそれ以上のデキでしたし、展開も結果も最高でした。山崎さんが優勝で、自分も4着に粘れたんだから。ホームで横田さんが切り替えてくれて海老根さんの邪魔になったのも良かったし、唯一失敗だったのはタイミングが早くてコーナーの上から行ったから(手島に)付いて来られたらどうしようってことだけでした」
一方、手島―兵藤の群馬勢や海老根―佐々木の南関勢は完敗。渡辺のダッシュに千切られた手島は言う。 「参りました。やるだけやって力負けだから仕方ない。でも、(渡辺に)付いて行ければいいだけだから。(前を任せてくれた)兵藤に悪いことをしました」
海老根も、渡辺の番手を巡っての激しい競り合いがあれば、まくり頃になるかもと思われた…。ところが、勝負所では9番手に置かれてしまう最悪の展開。
「みんなコメント通りのレースになると思ってたから。ちょっと機転が利きませんでした。自分の読みの甘さが出ました」
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