“嬉しい!”の一言に兵藤は感情の全てを込める。関東の追い込みとして確固とした地位を確立し、あとはタイトルを獲るだけと言われ続けてきた。
「嬉しいとしかいえませんね。8月に初めて記念を勝って、すぐにGII。取れるときはこんなものだなって思いましたね。今日はレース前に自分が優勝するイメージしか沸いてこなかった。最後は海老根ラインに付いて行くか迷ったけど、自分を信じて直線勝負だと思い直しました。4コーナーからはイメージ通り踏み込めましたね」
常に強気、そして前向きな姿勢を崩さない。父・信雄さんとの厳しい練習で絶対的な力の裏付けを得た。
「支えてくれた家族に感謝したいですね。親父との練習で強くなれたんだから。そして色々としてくれた友達にも」
これがスタートラインだ。“タイトルを獲るために走っている”兵藤にとって、この勝利もまた次の戦いへの第一歩にしか過ぎない。
「年末のこととか考えて硬くはなりたくないですね。今まで通りに余計なことは意識しません。次はGI。また明日から練習するだけですよ」
寸前で連覇の道を断たれた佐藤は悔しさを隠せない。 「2着は悔しいんですよね。これで優勝できないんじゃ…。まだ何かが足りないんでしょうね。山崎は駆ける気みたいだったんだけど、金子さんがあそこまで先行する気だったのは想定外でした。また練習し直しです」
四角ハコ回りの大塚は3着。「金子さんの踏み出しに付いていくことに集中していたし、実際に凄いダッシュだったんで、バックでは余裕がなかった。真後ろから(まくりが)来るのは分かっていたんですが。全く仕事ができなかった。金子さんには本当に申し訳ありません」。
失格してしまった金子だが、力は出し切ったという満ち足りた表情。 「まくりはリスクがあるから、今日は駆けようと思っていましたよ。誰にも出させるつもりはなかったし、優勝するにはそれが一番だと思ったから。大きいところで逃げて勝つパターンを自分のものにしたかったから」
抜群の出来を見せていた小嶋だが、踏むタイミングを失って見せ場なく終わってしまった。 「金子とは叩き合いはしないと話していたんです。(金子が)駆けるんだったら自分がもつように駆けるだろうし、その時は自分が中団を取って仕事しなきゃいけないなとは思ってました。ただあそこから行くとは…」
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