何よりその明るいキャラクターで知られる村本。しかし、その勝負強さも並みのものではないことをこの一戦で証明した。何しろ特別では決勝どころか準決勝に乗ったのもこれが初めて。大舞台のプレッシャーに押し潰されてしまってもおかしくない状況だ。ところが、先行の武田の番手回りと言う絶好のチャンスをあっさりモノにしてみせた。
「本当、(優勝の)実感ないです。武田さんが行ってくれて、バックで小嶋さんをブロックすれば2着はあるかなくらいに思ってました(笑)。とにかく、武田さんと話をしたら、7割先行したいって言ってたので、僕の仕事だけはしようと。静岡のみんなと静岡にタイトルがないから何とか獲ろうと話はしてて。僕だけが決勝に乗ったので、宮杯Tシャツを買って参加した(静岡勢)全員のサインを背中に書いたのを着て、みんなの思いをバンクにぶつけるつもりでした」
元々、小倉竜、小野らを輩出した77期を在校3位で卒業した逸材だが、タイトルホルダーとして今後は一層結果が求められる。
「藁科軍団(と言う練習グループ)に仲のいい練習仲間がいて、みんな自分の練習を削ってでも僕に合わせてくれる。その仲間と家族に感謝したい。最近、趣味でゴルフを始めたんですが、止めて練習に打ち込まないと(笑)」
一方、武田は特別初Vは逃したものの、先行してのこの結果には納得の表情。
「ゴールした瞬間負けたと思いました。まあ、力は出し切ったし、勝ったのは番手の村本君だから。本当はまくりで勝負したかったけど、勝つのは難しい」
3着には内林が入るが、前日のコメントと顔見せ、競走とが食い違い、後味の悪さを残してしまった。
「前日は売り言葉に買い言葉みたいになって小嶋君の番手とコメントしてしまいましたが…。とにかく後方で脚を溜めて、モツれたら番手に追い上げるつもりが、思った以上に単調な流れになってしまったね」
小野は武田―村本の三番手を選択。いい流れとなったように見えたが…。
「武田さんは先行7割と言ってくれてたし、自分が三番手を固めた方が先行しやすいと思って。いつもなら直線に入るまでに自分の踏むコースを確保しておくんですが、今日はその辺がボーッとしてました」
伏見も、「ホームで内が空いたから掬ったら、案の定、叩き合ってくれたし、仕掛けたタイミングもバッチリだったから行ったと思ったけどな。飛んで来た小嶋さんの煽りを受けたのが痛かった」と悔しがる。
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