二角でインを突いて三宅―小野―合志の後位に番手を上げると、最後は合志をドカして2着入線。小野の失格があっての繰り上がりXではあった。しかし、単騎の戦いの中、佐藤らしさを出し切った一戦だった。
「小野君のケツを見てて、“駄目だ、詰まらない”って思って踏んでましたから。ヨッシャーって言うよりラッキーって感じの優勝でした。今日は番手も考えましたが、バンクが重かったのですんなり先行の番手を取れないと苦しくなる。こういう時は脚を溜めて、まくり追い込みの方がいいかなって走る直前まで迷ってました。(実際のレースは)ゴチャついてコースがなくて、どうしようと思った時に内が空いてくれた。脚を残して負けるのは悔しいので、内でも外でもと思って踏んだら力を出せました」
ダービー、平記と続けて落車した後の復帰戦と言う不安も一蹴する優勝は宮杯に向けても好材料になろう。
「結果だけ見たら優勝ですが、初日のようなレースをしてては。落車で筋肉のバランスが崩れたので、ウエイトをガンガンやれず練習量が減ってました。その分、整体に行ってましたけど。まあ、これから暖かくなるので、焦らず徐々に上げて行きます。去年も賞金でGPに乗ったけど、やっぱりタイトルを獲って行きたいので狙って行きたい」
もし、佐藤にドカされてなければ結果的に優勝は合志だった。ただ、合志は素直に勝者を称えていた。
「小野さんが(まくりを)張りながら出て行くけん、それに付いて行って、外に行くか内に行くか迷った時にボーンと来られた。でも、当たられても、返すくらいの技量が僕にあればね」
一方、痛恨の1着失格に終わった小野もレース後は晴れやかな表情を見せる。
「3コーナーで“トシ、優勝せえ”って言う伸さんの声が聞こえたんです。その言葉が僕を突き動かしました。伸さんはずっとトップでやってきた年上の人なのに、男気を出して先行してくれた。その気持ちが嬉しかった。何が何でも期待に応えないとと思ったし、僕にとっては忘れられない一戦になると思います」
普段はまくり、差しが主戦法の三宅が新田を突っ張っての先行策に出た。信頼されて、しっかりしたラインが出来た以上はそれに相応しいレースをと言うのはいかにも三宅らしいところ。
「後攻めになったからあの展開になったけど、別に暴走する(先行して引き出す)つもりはなかった。あくまで自分が勝つ組み立て。もう少し早く新田君が押さえて来たら別だけど、あそこから行かれては終わりだし、後ろに小野君とかが付いてるので、そのまま出ました。あとはまくって来る市田君だけど、それは小野君が何とかすると信じて腹をくくった」
新田はその三宅の気持ちを読み切れずに敗退。出来の良さが光っただけに、悔やまれる結果だった。
「三宅さんが突っ張るとは計算外。結果論だけど、ワンテンポ早めに押さえた方が良かったのかな…」
その新田にマークの渡辺は納得の表情で、「全てお任せした結果なので、(この3着は)本望です」
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