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地元鈴木誠がV。実に13年7カ月ぶりの栄冠で優勝賞金6,650万円(副賞含む)を手にした。 |
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日本一を決めるダービーと言えども、決勝にこれほどのメンバーが揃うのはまさに夢のような話だろう。村上、武田、伏見、吉岡、小嶋と今の競輪界を代表する自力型の攻防に注目が集ったが、18,000人余りのファンの目の前で栄冠を手にしたのは、何と39歳のベテラン鈴木だった。地元勢の歓声と胴上げで迎えられた鈴木は、「(優勝が)自分でいいのかなって」とトレードマークの“誠スマイル"で喜びを語る。
「伏見君は好きに走ってくれて、自分は4コーナー勝負になればと思ってましたが、先行してくれて。最後に内に行ったのは恥ずかしかったけど…(苦笑)。ここの前に2場所連続で優勝してきたけど、調子は良くなかった。予選で練習仲間の海老根恵君を付けて貰って1着が取れ、乗っていけました。地元で勝ててみんなも喜んでくれた。前の松戸ダービーでは決勝で落車したけど、その分も取り返せたかな。GPとか全然実感がないですね。これから徐々に考えていきます」
鈴木の特別Vは91年の久留米全日本以来の事。その間にGIII優勝はあったが、13年7カ月ぶりの優勝には驚かされた。練習相手を務める大沢仁は、“去年の秋から年齢とともに街道での車誘導、人力に練習方法を変えた。長期計画でやりだしたら、調子が上がってきたので、このダービーに目標を設定した"と証言する。
「こういう大きな大会で優勝するのはね。半ば諦めじゃないけど、とにかく自分の体調を良くする事だけを心掛けてました。これからも一戦、一戦頑張ります」
伏見もディフェンディングチャンピオンの意地と底力を十分に示した。本人も納得の様子で振り返る。
「いい競走が出来たと思います。誠さんもVを狙うなら仕事は出来ないだろうなって思って、自分で(村上の)スピードを止めに行ったけど、結果的に失敗でしたね。振ってなければ優勝だった。でも、他の特別優勝一本分くらいの賞金だし、あのメンバーで先行して粘れたのは大収穫です」
一方、村上は伏見―鈴木の後位と絶好位をキープしたかに見えたが、伏見がダッシュした時に離れ気味になったのが誤算。しかし、特別決勝の舞台に戻って来れた事で表情は明るい。
「まだレース全体が見えてない。GR賞の時は小嶋さん、今日も武田さんの動きだけ警戒してる時に行かれて少し離れてしまった。4コーナーでへばり付いて行って直線伸びるイメージもあったが…。ただ、体調が良くなり、戦えるようになって光は見えました」
内林は残念そうに話す。「伏見に上手い事やられたね。僕も四番手やったけど、333走路やから内を掬われんようにと出脚で脚を使ってしまった。番手(鈴木)が内から行ったのも誤算」
3着で表彰台の合志の健闘を称えつつ、一戦を振り返るのが吉岡。「伏見が内から行った時に切り替えようかとも思ったけど…。村上が先行なら内林さんをドカして付いて行こうと思ったが、まくりに構えているようだから、バックを入れた所で伏見に踏まれてしまって口が空いてしまった」。
史上最速での特別制覇が期待された武田は後方に置かれて見せ場なし。「失敗のレース。赤板の所でもう少し踏んでれば」と言葉少なに競輪場をあとにする。その武田に託した後閑は、「キモは打鐘。武田君には主導権を取る事だけ考えろ。そうすれば結果的に三番手に入れただろうし、先行したとしてもいい所から逃げられる。後ろの事は俺に任せろって言ってたんだけどね。でも、彼は普通の新人じゃないし、これをいい経験にするんじゃないかな」。 |